当事務所は、銀行口座を売買や貸与(口座レンタル)してしまい、詐欺被害者から返還請求を受けてしまった、警察から連絡を受けている、自分も詐欺に遭って多額の借金を抱えているといった方を対象として、法律手続きや対処方法についてアドバイスや依頼を受けております。
ここ数年SNS(x、インスタグラム)で、お金配り、小遣い稼ぎ、副業、高収入バイト、ホワイト案件と称して、銀行口座を開設・譲渡させ、その対価にお金を払う(払われないケースもあります)という手口が非常に増えております。
また闇金が担保として、借り入れを申し込んだ方の口座情報を取得し、悪用するという事案も多いです。
詐欺被害相談に対応する事務所はたくさんありますが、その半面、意図せず詐欺師の片棒を担ぐことになってしまった、共犯関係になってしまった方について相談できる事務所はとても少ない状況です。
(加害者なのだから当たり前だろうと、詐欺被害を受けられた方からはよく言われますが、口座を提供した方はそのことが悪いことだと知らなかったという方がほとんどです。当事務所は詐欺の被害者だけでなく、意に反して詐欺に加担したような形になってしまった方からのご相談も承っております。)
なお、口座売買で返還請求や犯罪に巻き込まれた方からの相談は全国からほぼ毎日のように頂いておりますが、ほんの一例ですが、相談事例を記載いたします。
少しでもご自身の状況に当てはまるようであれば、当事務所に限らず専門家に相談されることをお勧めします。
相談事例抜粋(ごくごく一例です。)
相談事例 2022年
SNSで「手軽に高収入が得られるアルバイトがある」という投稿を見つけ銀行口座を売ってしまい、口座凍結名義人リストに載ってしまいました。警察からはまだ連絡はありませんが、どうしたらいいでしょうか?出頭した方がいいのか、連絡を待っていた方がいいのか知りたいです。
相談事例 2022年
銀行から預金債権等の消滅手続きを開始しますといった書面が届きました。
Twitterでお金配り企画に応募し、DMでやり取りをしていたところ、振込は難しいためキャッシュカードを送るようにといわれたので、何も考えず送りました。
まさか犯罪に使われているとは思ってもいません。
ネットを調べていると自首した方がいいとか、逮捕されて前科が付くという記事が目に付くので不安です。
この場合、権利行使の届出を出しても意味はありますでしょうか?いきなり警察が来るのでしょうか?
夫にも子どもにも話しておらず、どうしたら良いか途方に暮れています。
相談事例 2022年
弁護士から自宅に通知書が届きました。
過去に私が持っていた口座をSNSを通じて売却し、その口座が詐欺に使われ、50万円の被害が出たとのことでした。
通知を送ってきた弁護士に電話したら私の勤務先、家族構成、家族の電話番号など聞かれ、口座に振り込んだ50万円を一括で返金しろと言われました。
もし返金しなければ訴訟や逮捕と言われています。
相談事例 2023年
生活費に困り銀行口座を売買してしまい、銀行から口座凍結通知書が届きました。
銀行に連絡したところ、最寄りの警察署に行ってくださいと言われました。
警察が口座凍結を要請したのでしょうか?
今後、どうしたら良いかわかりません。教えてください。
相談事例 2023年
今年の8月に口座売買をしてしまい今日警察から電話がありました。
電話の際に後ろめたさから嘘をついてしまい、正直に事実を意話すことができませんでした。
このまま逮捕されることはありますでしょうか?家族に迷惑がかからないか心配です。この後どのようにすれば良いでしょうか?
相談事例 2023年
銀行のマネーローンダリング対策オフィスから手紙が届いた。
犯罪による収益の移転防止に関する法律に基づく取引時確認をしたいから、5月17日までに通帳やキャッシュカードを持って来店してほしいとのことです。
通帳もカードも渡してしまい手元にはありません。
渡した相手とも連絡が取れなくなってしまいました。
相談事例 2024年
銀行口座を売買したことで3人の被害者が出ていることがわかりました。
2件は自分で請求してきた弁護士と和解し返金することになりました。
1件は納得してもらえず和解ができていません。
自首した方が良いでしょうか。逮捕される可能性はありますか?
相談事例 2024年
口座売買をしてしまい、9か月後に返還を求める訴訟を起こされました。
答弁書は自分で出しましたが、ここからどうしたらいいかわからないので、対応して欲しいです。
相手の代理人弁護士からは、銀行の残高を返金すれば、それで和解すると言われています。
ただ、別な被害者から後から訴えられたらどうしようと悩んでいます。
相談事例 2024年
銀行口座を開設して、すぐに売ってしまいました。
今日警察からその口座は犯罪に使われたとの連絡がありました。
シングルマザーで生活に困窮してしまい、Xで見つけた副業として言われるがままやってしまいました。
深く反省しております。
まだ子どもが小さいので、この先逮捕されてしまうのではないか不安です。
相談事例 2024年
「口座を貸すだけでお小遣いがもらえる」というSNSの案件に手を出して、銀行口座を凍結する旨の通知が銀行から届きました。
普段使いしている自分名義の銀行口座がどうなってしまうのか。
まだ学生で、実家暮らしのため親にバレてしまうではないか、就職活動に響かないかも不安です。
どうかお力添え頂きたいです。
相談事例 2024年
口座を売ってそれが詐欺に使われ、相手の弁護士から連絡がきました。
結婚していますが、こんなことは夫には話せないし、私自身も他の詐欺の被害に遭っていて、その際借りさせられた消費者金融の毎月の返済に追われていて、費用なども心配です。
相談事例 2024年
簡易裁判所から、仮差押決定が来てしまいました。
内容は、私が口座を売ったことのようです。
信用情報がブラックだったため、正規の業者では借りられなかったので、Xで闇金にお金を借りようとしたところ、私名義の銀行口座を担保にしたら、融資するという事で口座情報を教えてしまいました。
売ったわけではありませんが、教えたらすぐにブロックされてしまい、そのままにしてしまいました。どうすれば良いか分かりません。
相談事例 2024年
突然いつもネット銀行の口座が凍結され、カスタマーサポートに問い合わせしたところ、警察から要請があったとの事でした。
心当たりとしては、SNSで動画をスクショするだけで収入が貰える副業があったので、それに応募し口座情報を一度教えてしまいました。実際に収入の振込があり、全額使ってしまいました。
口座凍結の要請をしたのはかなり遠方の警察署です。
ほとんど使用していない口座なので、権利が消滅しても構わないけど、自分にとって損にならない対応を教えてください。
相談事例 2024年
口座売買をしてしまい、検察の取り調べが終わり、起訴されることになりました。
会社にバレないか心配です。
相談事例 2024年
SNSで副業を探していたところ、使用していない口座を貸してくれたら、報酬を差し上げますという案件があり、2つのネット銀行のログイン情報を教えました。
悪用されたようで、3件の弁護士事務所からトータル480万の請求を受けています。
おそらくもっと増えるのではないかと思っています。
安易に手を出した自分が悪いのですが、支払いを求められても、支払能力は一切ありません。
どうしたら良いでしょうか。
相談事例 2024年
専門学生の息子がネットでApple Pay、PayPay、LINEpay、仮想通貨の換金で小遣い稼ぎをしていることがわかりました。
換金業を生業にしている知り合いがいて誘われたようです。
詳しく問いただしたところ、自分の口座以外に他人口座をもっていることも判明しました。
調べたら他人口座の売買が犯罪であることが分かったので、販売者に連絡しようとしたところ、ブロックされ連絡が取れませんでした。警察に相談に行ったところ、自首として扱うと言われ、想像以上に事情を追及されています。
相談事例 2024年
口座売買をしてしまい、合計1800万円の返還請求をされました。
相手の弁護士からは返さないと逮捕され、刑務所に入ることになりますと言われたので、言われるがまま和解契約書に記入しました。そのほかに銀行、消費者金融、クレジットカード、アプリローン、闇金を含め400万円の債務があります。
これらの返済だけでも月10万円を超えていて、とても払うことができません。自己破産したいです。
そもそも口座売買(口座レンタル)は犯罪?
銀行の口座売買(貸与含む)は、売主、買主両方とも罪に問われます。
口座売買が判明した段階で、口座が凍結されたり新たに銀行口座が作れなくなるリスクがあります。
銀行の口座売買(口座レンタル)とは何を指しているの?
そもそも銀行の口座売買とは、自分又は他人名義のキャッシュカード、通帳、インターネットバンキングのログインIDやパスワードを売買(貸与含む)することを指しております。
正当な理由なく、銀行の口座売買を行った場合は、罪に問われる可能性があります。
よく、お金をもらっていないから問題ないのではと思われる方がおりますが、有償の場合に限らず、無償で譲渡した場合も罪に問われます。
銀行の口座売買はどんな罪に問われる?
正当な理由なく銀行の口座売買をすると、犯罪収益移転防止法違反、詐欺罪、窃盗罪等に問われる可能性があります。
犯罪収益移転防止法違反
正当な理由なく、自分又は他人名義のキャッシュカード、通帳、ネットバンキングのログインIDやパスワードを譲渡又は譲り受けると「犯罪による収益の移転防止に関する法律」(いわゆる犯罪収益移転防止法)に違反する可能性があります。
犯罪収益移転防止法違反に該当すると、1年以下の懲役か100万円以下の罰金、またはこれらの両方が科せられます。
犯罪収益移転防止法とは、資金洗浄(マネー・ローンダリング)、テロ活動に対する資金提供、振り込め詐欺といった特殊詐欺などの詐欺行為などを防止する法律です。
詐欺罪
他人に譲り渡す目的で口座を開設したり、他人又は架空名義の口座を開設すると、詐欺罪に問われる可能性があります。
詐欺罪は、他人を欺いて財物を交付させる行為に対して成立します。
そもそも銀行口座は口座売買を目的した開設は許されておりません。
その目的を偽って口座を開設させる行為は銀行を騙していることになるため、詐欺罪に該当します。
詐欺罪に該当すると、10年以下の懲役が科せられます。
窃盗罪
口座売買により得た他人名義の口座から現金を引き出した場合、窃盗罪に該当する可能性があります。
窃盗罪に該当すると、10年以下の懲役、または50万円以下の罰金が科せられます。
大阪府警 口座の売買・譲渡し(譲受け)は犯罪です。https://www.police.pref.osaka.lg.jp/seikatsu/hanzaisyueki/13559.html
自分や他人名義の通帳・キャッシュカードを譲り渡す行為。 犯罪収益移転防止法違反
一年以下の懲役
100万円以下の罰金自分や他人名義の通帳・キャッシュカードを譲り受ける行為。 ネットバンキングのログインID・パスワードの情報を譲り渡す行為。 ネットバンキングのログインID・パスワードの情報を譲り受ける行為。 他人に譲り渡す目的で口座を開設する行為。 詐欺罪
10年以下の懲役他人・架空名義の口座を開設する行為。 他人名義の口座からATMで現金を引き出す行為。 窃盗罪
10年以下の懲役
50万円以下の罰金
売買した口座はどのような犯罪に使われるのか?
売買した銀行口座は、闇金、特殊詐欺(振り込め詐欺、還付金・給付金詐欺、投資詐欺、融資保証金詐欺等)の振り込み先として使われたり、マネー・ローンダリングなど、他の犯罪に悪用されます。
(この点は口座を買った人間に寄りけりですので、どのような用途で使われるか、売買時点ではわかりません)
還付金詐欺とは、役所や金融機関などを装い、医療費、年金などの「還付金がある」「過払いがある」と嘘の情報を伝えて、ATMやネットバンキングに誘導し、お金を振り込ませようとする詐欺手法です。
投資詐欺とは、お金を増やしたいという人の心理につけ込み、「必ず儲かる」「元本保証」など、言葉巧みに投資家の興味を引き、お金をだまし取る詐欺手法です。
国際ロマンス投資詐欺、劇場型投資詐欺、SNS型投資詐欺などさまざまな類型があります。
口座売買は再び増加傾向
口座不正利用に伴う口座の利用停止・強制解約等の件数の推移
時期 利用停止 強制解約等 合計 2016年度 52,753件 29,880件(26,795) 55,838件 2017年度 42,454件 24,121件(21,636) 44,939件 2018年度 40,193件 18,694件(16,058) 42,829件 2019年度 41,897件 20,069件(17,235) 44,731件 2020年度 42,982件 21,089件(18,156) 45,915件 2021年度 52,242件 24,705件(22,570) 54,377件 2022年度 74,042件 30,711件(29,132) 75,621件 ※「口座不正利用」とは、「ヤミ金融業者の返済金振込口座(出資法違反等)」、「サイト利用代金等の債権を譲り受けたと偽って架空の代金請求をする際の代金振込口座(詐欺)」、「いわゆる『オレオレ詐欺』における振込口座(詐欺)」等、法令や公序良俗に違反する行為に銀行預金口座が利用されること。
https://www.zenginkyo.or.jp/hanzai/7323/ 全銀協 銀行口座の売買
銀行口座が凍結される理由
振り込め詐欺が指定する銀行口座、闇金の振込先となっている口座は犯罪利用預金口座に該当します。
犯罪利用預金口座として認識されると、警察から各金融機関に口座名義人などの詳細が通知され、「犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律(いわゆる振り込め詐欺救済法)」の定めに従い、金融機関はその口座で取引ができないような凍結措置を講じる必要があります。
これにより口座が凍結されます。
口座が凍結される理由は、犯罪利用預金口座を使用不能にして、それ以上の被害者を増やさないようにすること、被害にあったお金を回収し、被害者に対して被害額を分配するといったことが挙げられます。
なお、警察だけではなく弁護士や司法書士も金融機関に対して凍結措置を取るように求めることができます。
そのため、警察が動いていない(刑事事件化していない)にもかかわらず、凍結されることがあります。
なお、口座が不正利用された場合だけではなく、下記の理由でも口座が凍結されることはありますが、所定の手続きを経ることで、口座凍結は解除されます。
・債務整理の対象になる場合
カードローンなどの銀行からの借り入れについて債務整理をした場合、口座が凍結されます。
預金残高との相殺、保証会社からの代位弁済を経れば凍結は解除となり使用することができます。
・口座名義人が死亡した場合
口座名義人が死亡したと金融機関が認識した場合、口座凍結されます。
そもそも銀行口座は死亡後すぐに凍結されるのではなく、親族などの相続人が金融機関へ連絡することで凍結されることがほとんどです。(地方の場合、地方新聞の訃報欄などから情報を得て家族へ確認をすることもあります。)
・名義人が認知症であると認められた場合
金融機関が口座名義人の認知症発症を知った場合に口座凍結されます。
死亡の場合と同様、認知症発症直後に凍結されるのではなく、親族など連絡があった場合や本人とのやり取りで認知症と疑われる場合に口座凍結されます。
銀行口座が凍結されるとどうなる?
他の銀行口座も凍結される可能性がある
一つの銀行口座が凍結されると、同一名義の別の銀行口座が凍結されることがあります。
凍結要請を受けた金融機関は、「預金保険機構」に犯罪に利用された疑いのある口座情報について公告を依頼します。
この公告は公表されており、一般の方も見ることができます。
当然他の金融機関も確認しているため、一つの口座が凍結されると、芋づる式に他の口座も凍結されることもあります。
ちなみに、現代において銀行取引ができないというのは大問題です。
自分名義の口座がすべて利用できなくなれば、家賃・カード等の支払はおろか、給与もまともに受け取れないわけですから、社会的信用は失墜します。
他の口座があるから大丈夫と高を括ると大変なことになります。ご注意ください。
新たに銀行口座を作ることができなくなる
上述の通り、預金保険機構に公告されますので、そこに登録されている名前で新たに口座を作ろうと思っても、口座の新規開設を断られてしまう可能性があります。
凍結された口座は最終的にどうなる?
預金は犯罪被害者に分配される
凍結口座の残高は、一定期間経過後に犯罪被害者に分配され、口座は消滅します。
なお、身に覚えがない場合には、「権利行使の届出」をすることで、異議を述べることができます。
この届出を金融機関に提出をすることで、犯罪被害者に預金が分配されるのを防げる可能性があります。
異議の期間は60日以内という決まりがあるため、この期間内に権利行使の届出を提出しなければなりません。
その期限を過ぎてしまうと、口座名義人であるにもかかわらず口座の権利を失ってしまいます。
「権利行使の届出」をしたい方は、早めに金融機関に問い合わせてください。
口座の凍結は解除できるの?
はっきり申し上げまして、口座売買(貸与)を原因として口座が凍結された場合、解除は不可能と思っていただいた方が良いです。
それよりも他の口座にまで被害を及ぼさないようにするということが重要です。
なお、警察ではなく弁護士や司法書士が要請した口座凍結の場合、相手方と和解ないしこちらの不可抗力で口座が悪用されたことを理解してもらえれば、凍結を解除する要請をしてもらうことはできます。
(それで解除するかは金融機関次第ですが、中には解除できた方もおります。)
口座売買の時効
口座売買を行ってしまった場合、犯罪として処罰される可能性はありますが、時効は存在します。
・犯罪収益移転防止法違反 3年
・詐欺罪 7年
口座を売ってしまい、犯罪収益移転防止法違反した場合、「口座を売却した時から3年」、売却目的で金融機関で口座開設手続きをした場合には詐欺罪に問われる可能性があり、その場合には「口座開設から7年」で時効が成立すると考えられます。
口座売買をしてしまった場合の対応
口座売買が犯罪だと知らずに、口座を売買してしまった場合、まずは警察に相談してください。
加えて、口座を開設した銀行に口座の解約ができないかをお願いしてみると良いです。
また、消費者トラブルを扱っている全国の消費生活センターに相談することも可能です。
「188」に電話をすれば、トラブルがあった時に、近くの消費生活相談窓口を紹介してもらえます。
もちろん、弁護士・司法書士に相談していただくことも可能です。
相手(弁護士)からの返還請求に応じる義務はあるの?
弊所にご相談頂くほとんどの方が、「口座を売買しただけで、それ以上のお金をもらっていないし、口座も使えない。自分も被害者である。騙されて自分名義の口座に振り込んだ人に返還する必要なんてない。」と思われております。
そのお気持ちはごもっともです。
ただ、法的には返還する義務を負っております。
理由を簡単に申し上げると、誤ってあなたの名義の口座に振り込んでしまったから返してくださいということだからです(法的には不当利得返還請求といいます。)。
そのため、口座売買をした方は、騙されてご自身名義の口座に振り込んでしまった方全員に対して返還しなければなりません。
とはいえ、全員が返還請求をしてくるかというとそうではありませんが、中には諦めきれず、弁護士に依頼をして返還請求をしてくることがありますので、そうした方に対しては、返済ができないのであきらめてほしい旨を含め和解交渉が必要となります。
和解しないままですと裁判を起こされ、強制執行を食らう可能性があるばかりか、刑事事件化してしまう恐れもあります。
返還請求された金額を払えない場合の解決方法
任意整理
任意整理は借金の場合のみと思われがちですが、そもそも任意整理とは、専門家が業者などの債権者に元金・利息の減免を求め、3~5年の分割払いの交渉をする債務整理方法を指します。
返還請求額が多額でない場合には、専門家に交渉を任せて、分割払いで払っていくという方法があります。
ただ、相手に分割払いを受け入れるよう強制させることはできないので、一括でしか受け付けないと言われてしまえばこの方法はできません。
自己破産・個人再生
口座売買は犯罪行為であるので、自己破産はできないという情報がネット上に飛び交っていますが、正しくはありません。
破産法第253条1項2号により、破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権については、非免責債権とされています。
破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権は、加害者への制裁という観点から非免責債権とされているということです。
これが独り歩きをして自己破産ができないと言われているのだと思います。
ただ、ここでいう「悪意」というのは、単なる故意ではなく、積極的な害意と解釈されております。
例えば、万引きなどの窃盗や会社の運転資金を横領したことによる損害賠償請求権、傷害、強盗、殺人などによる慰謝料・損害賠償請求権は、非免責債権に該当し、基本的には免責の効力が及びません。
では口座売買はどうかというと、売買した口座が悪用されるとは思ってもいなかった、騙してお金を振り込ませる詐欺事案に一切関わっていなかったのであれば、上記の「悪意」があったとまではいえず、全額免責される可能性があります。
(※破産管財人は付きますが、弊所では本件のような事案の自己破産を多数引き受けており、実際に免責決定を受けております。)
なお、個人再生には上記のような要件がありませんので、再生委員も再生計画案について了承しており、債権者からも異議が出なければ、個人再生も利用できる可能性があります。
(これも弊所では経験済みです。)
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