過去に各自治体が運営する公立病院(市立病院)で治療を受けたものの、生活が困窮し払えなくなっていたところ、数年たった今になって請求を受けることがあります。
未払医療費の請求は、ここ最近増えており、債権回収会社、法律事務所(弁護士法人)だけではなく司法書士事務所(司法書士法人)も病院から委託を受け請求してきております。
当然のことながら、病院で医療サービスを受けたわけですので、支払をする義務はあります。
しかしながら、請求額を支払えない場合にはどうすればいいでしょうか。
もし、公立病院の病院代の滞納開始から※3年以上経過しており、その間裁判(訴訟、支払督促、調停)を起こされたこと等時効を中断させる事由が無いようでしたら、「時効援用」を行うことで、支払義務を逃れることができる可能性があります。
以前、公立病院の医療費は5年で時効を迎えると解されておりましたが、下記最高裁判決において、「公立病院において行われる診療は、私立病院において行われる診療と本質的な差異はなく、その診療に関する法律関係は本質上私法関係というべきであるから、公立病院の診療に関する債権の消滅時効期間は、地方自治法第 236 条1項所定の5年ではなく、民法第170条1号により3年と解すべきである」と判示され、短期消滅時効の3年となっております。
※公立病院における診療に関する債権の消滅時効期間事件番号平成17(受)721事件名診療費等請求事件裁判年月日平成17年11月21日法廷名最高裁判所第二小法廷判例集等巻・号・頁民集 第59巻9号2611頁判示事項
公立病院における診療に関する債権の消滅時効期間裁判要旨公立病院における診療に関する債権の消滅時効期間は,3年と解すべきである
病院代(治療費)は、自動的に時効になるのではないかと思われる方もいらっしゃいますが、期間が経過すれば自動的に消滅するものではなく、通常の債権と同様に「時効援用」により消滅します。)
「時効援用」により消滅時効が成立すれば、元金を含め発生した損害金すべてを支払う必要がなくなります。
なお、滞納開始から3年は経過していない場合であっても、諦める必要はございません。
「任意整理」等の債務整理をすることで負担を軽減することもできます。
病院代だから債務整理ができないということはありません。
当事務所で病院代を含めた未払金・借金が支払えない方の債務整理手続きを承っております。
早めのご相談が解決への近道になります。
返済についてお困りの方は、お気軽に当事務所までご相談ください。
【現民法条文】
(三年の短期消滅時効)
第170条
次に掲げる債権は、三年間行使しないときは、消滅する。ただし、第二号に掲げる債権の時効は、同号の工事が終了した時から起算する。
一 医師、助産師又は薬剤師の診療、助産又は調剤に関する債権
二 工事の設計、施工又は監理を業とする者の工事に関する債権
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