NHK受信料の消滅時効援用
ポイント
①NHK受信料は時効になるが、申出(時効援用)が必要
②消滅時効が認められても、直近5年分の支払義務はある
③受信契約を解約する場合、別途解約の意思表示が必要
NHK受信料は消滅時効援用が可能なの?
そもそも受信料って何?
放送法という法律に基づき、NHK(日本放送協会)と受信契約を締結した人が支払う料金のことです。
放送法第64条にはテレビ放送を受信出来る受信設備(テレビ)を設置したらNHKと契約(受信契約)を結ばなければならないと定められています。
受信料は何年支払わないと時効になるの?
NHKのお支払いに関するQ&Aに下記のような回答があります。
Q.受信料に時効はあるのか
A.受信料の消滅時効は5年になります。
参考 NHKのお支払いに関するQ&A https://pid.nhk.or.jp/jushinryo/shiharai_qa.html
※受信料のお支払いが滞っている分については、これまでどおり全額請求させていただき、時効の申し出があった場合には、時効を5年として取り扱います。
上記の通り、NHK自体も受信料は5年支払をしないと消滅時効援用により支払義務がなくなること自体は認めております。
ただし、自動的に時効になるわけではなく、あくまで契約者からの申し出が必要となることご注意ください。
消滅時効援用ってなに?
上述した通り、受信料を5年支払をしないと”消滅時効援用”により5年を経過した分の支払義務を逃れることができます。
注意していただきたいのは、時効の期間5年を経過しただけで自動的に受信料の支払義務がなくなるわけではないことです。
NHKに対して時効の期間を経過した分の受信料は時効になっているので支払いをしませんと主張する必要があります。
これを(消滅)時効の援用といいます。
よく、5年以上前の受信料全額を請求するのはおかしいのではないかとお問い合わせいただくことがありますが、時効援用しない限りNHKは全額請求できます。
自動的に時効にすればいいじゃないかと思われる方もいらっしゃるかと思いますが、支払いをするか時効にするかは契約者の自由であるため法律が勝手に消滅させるのではなく選択できるようにしています。
詳しくは下記をご参照ください。
時効援用って難しそうだけど、具体的にどうすればいいの?
NHKに時効になっている分は支払いをしないと意思表示をすれば足ります。口頭でも時効は成立しますが、証拠が残りませんので、一般的には証拠が残る郵便方法の内容証明郵便で時効援用通知書を送ります。
ちなみに弁護士、司法書士に依頼された場合、この一連の手続きを代行いたしますので、ご依頼人の方は時効成立まで待っていただくだけです。
NHKからどういった書類が届いたら時効援用を検討したらいいの?
NHK受信料を滞納していると「重要なお知らせ」と題する書類とコンビニなどで支払ができる「日本放送協会受信料払込取扱票」が送られてくるようになります。
これらの書面は支払いを終えるか時効援用をしない限り定期的に送られてくるようになりますので、時効援用を検討される目安と考えられると良いです。
NHKが送ってくる「重要なお知らせ」
令和2年 月 日
重要なお知らせ
様
お客様の放送受信料につきましては、下記期間のお支払いの確認が取れておりません。
同封の払い込み用紙にて、至急お支払いください。
お支払いが滞っている方に対しては、文書・電話・訪問などを通じてお支払いいただくための活動を進めています。
それでもなお、ご理解が得られない場合、やむを得ず、裁判所を通じた法的手続きを実施しています。
お支払い方法についてのご相談「分割でのお支払い等」がある場合は、下記問い合わせ窓口までご連絡ください。
なお、行き違いで、すでにお支払い済み、またはお手続きがお済みの場合はご容赦ください。
●請求期間 : 平成10年1月 ~ 令和2年 月
●請求金額 : 〇〇〇,〇〇〇円(消費税を含む)
消滅時効が認められたら受信料全額を支払わなくてもよくなるの?
消費者金融等の貸金債権と違い、消滅時効が認められても受信契約自体がなかったことになるわけではありません。
そのため、消滅時効が認められない直近5年以内の受信料を支払う必要があります。
参考:5年分の受信料
地上契約のみの場合 約8万円
衛星契約もある場合 約14万円
になります。
消滅時効援用したら受信契約は解除になるの?
時効援用による支払義務の免除と契約の解除(解約)は別物のため、別途受信契約の解除が必要となります。
テレビ等の受信機(以下、「受信機」といいます。)を設置した住居にどなたも居住しなくなる場合や、廃棄、故障などにより、受信契約の対象となる受信機がすべてなくなった場合は、受信契約は解約の対象となります。
NHK受信料の窓口 https://pid.nhk.or.jp/jushinryo/about_kaiyaku.html
〔解約の主な事由〕
(1)受信機を設置した住居にどなたも居住しなくなる場合
・2つの世帯が1つになる場合※
・世帯消滅
・海外転居 など
※一人暮らしの解消、単身赴任の解消など、2つの世帯が1つになる場合は、いずれか一方の受信契約が解約の対象となります。
(2)廃棄、故障などにより、受信契約の対象となる受信機がすべてなくなった場合
・受信機の撤去
・受信機の故障
・受信機の譲渡 など
受信契約の解約にあたっては、所定の届出書をご提出していただきます。
NHKからの請求を無視し続けるとどうなるの?
NHKからの請求を長期間放置していると、訴訟や支払督促などの法的手続きを起こされる可能性があります。
訴訟や支払督促など法的手続きを起こされ、特に何らの対応をしないでいると時効の期間が中断してしまい、時効援用ができなくなります。そればかりか、時効は更に10年に延びてしまいます。そのためNHKからの請求がきたら、放置せずに早めに時効援用することをお勧めします。
時効にならないケースってどんなケース?
下記事項に該当すると時効が中断することがあります。
①請求
この場合の請求とは、受信料支払請求訴訟を裁判所に起こされることを指します。訴訟以外にも支払督促、調停申立も同様に時効が中断します。
請求書を送付することは催告といいます。
②差押、仮差押え、仮処分
預金口座や給与を差し押さえた場合を指します。
③承認
債務(受信料支払義務)の存在を認めることです。
書面だけではなく、口頭でも成立します。
例えば、
・滞納している受信料について支払う意思があることや分割払いで支払う旨を伝える。
・受信料支払期間指定書等に署名をする。
などです。
NHKに対する消滅時効援用(時効の申出)の費用
消滅時効が認められ、直近5年分の受信料まで減った場合
報酬 | 22,000円(税込) |
---|---|
和解報酬 | 0円(なし) |
実費 | 数千円程 |
※裁判の対応が必要な場合、裁判報酬33,000円~及び日当11,000円~が発生いたします。
※実費は郵便代(内容証明郵便)や交通費です。
※減額報酬は有りません。
※分割払いでのお支払いが可能です。
⇒およそ25,000円で終了いたします。
NHKの時効援用はどの専門家に頼んだらいいの?
この手の時効援用を専門家に任せる場合、弁護士、認定司法書士(140万円まで)、行政書士の3つの専門家が出てきます。
ご依頼人の代理人として、手続きができるのは弁護士、司法書士になります。
行政書士はあくまで時効援用通知を作成することしかできません。
NHKに対してご依頼人に代わって返済の交渉すること、消滅時効が成立したかを確認をすること、訴訟・支払督促などの裁判対応ができるが代理人であるかそうでないかの決定的な違いです。
専門家に依頼しようと考えていらっしゃる方はNHKと話もしたくない方がほとんどだと思いますので、費用の二重払いを避けたい、煩わしいさを減らしたい、時効援用後の受信料について分割交渉を行って欲しい方は弁護士、司法書士に依頼されることをお勧めいたします。
行政書士は費用が安いとうたっているところも多いですが、NHKだけの時効援用であれば、専門家間にさほど差はでませんので、比較して決められることをお勧めいたします。
NHK受信料時効援用のご相談からの終了までの流れ
①ご相談及びご契約
まずはお電話、メール、お問い合わせフォーム、LINE等からお問い合わせください。
ご契約後、業務をスタートします。
②受任通知の発送
NHKに対して受任通知を発送し、弊所が代理人になったこと及び滞納している期間・金額を確認いたします。
③消滅時効援用通知書の発送
受信料の滞納期間が確認できましたら、5年を超えて滞納している受信料について消滅時効が成立しているので支払いませんという旨の消滅時効援用通知を弊所にてNHKに発送します。
④時効成立の確認
NHKに対して、5年を経過した受信料について時効成立を認めるか否かを弊所にて確認いたします。
⑤払い込み用紙の取得
お客様に代わって、時効にならない分(直近5年分)の受信料払い込み用紙を取り寄せいたします。こちらを使用してお支払いください。これで業務は終了となります。
ご相談料は無料です。
御苑総合司法書士事務所
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