過去に消費者金融やクレジットカード会社の支払いが困難(多重債務状態)になり、専門家に依頼し「個人再生」をしたものの、裁判所から認可された再生計画通りの返済ができなくなってしまうことがあります。
「個人再生」をしたとしても、条件が整えば、「時効援用」により支払義務を逃れることができます。
個人再生には、「小規模個人再生」「給与所得者等再生」の2種類ありますが、時効の考え方については特に違いがなく、5年で時効を向かえることになります。
裁判所の手続きを行っているのだから10年ではないのかと疑問に思われる方もいらっしゃるかと思いますが、個人再生の場合には、通常の民事再生と違い、確定判決と同一の効力を有するという規定の適用が認められていません(民事再生法第238条)。
そのため、個人再生は通常の民事再生と異なり、消滅時効が10年にはならず(民法174条の2第1項)、貸金債権であれば5年で消滅時効となります。
※余談ですが一般の民事再生では、債権調査により確定した再生債権者表に記載された債権については確定判決と同一の効力を有するとされています(民事再生法第104条3項)。
ただし、注意が必要なのが、時効の起算点です。
一般的に個人再生における再生計画には期限の利益喪失条項を定めていないため、支払ができなくなった時から消滅時効が進行するわけではなく、返済予定期日から個々に消滅時効が進行すると考えられています。
なお、消滅時効の期間が経過したからといって自動的に債権が消滅するわけではなく、「時効援用」が必要であることは、通常の時効手続きと同じです。
また、再生計画に基づく弁済ができなくなった場合、債権者によっては裁判を起こしてくることがあり、債務名義(判決・支払督促)を取られてしまうと時効は10年に伸びてしまいます。
当事務所でも個人再生(小規模個人再生・給与所得者等再生)後に返済ができなくなった方の時効援用を多数取り扱っております。
個人再生後の時効援用の考え方は一般の方にはわかりにくいものであるため、自分の場合はどうなのかなと疑問にお思いの方はお気軽にご相談下さい。
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