ホストクラブ等の飲食代金について取消権を行使したい。

取消権行使Q&A

前回の続きです。

未成年者が利用したホストクラブの飲食代金(売掛とかツケとか言ったりすることもあるようです)が高額になってしまい支払ができない場合には、未成年者取消権の行使することにより支払義務を逃れられる可能性があるものの何でもかんでも行使できるわけでないことを紹介しました。

そもそも、民法に未成年者取消権の規定がある理由は、成人と比べて取引の知識や社会的な経験が不足し判断能力も未熟なため、未成年者が行った契約によって不利益をこうむらないようにするためです。

しかしながら、相手方もいつ取消権が行使されるかわからないと未成年者との取引を躊躇してしまいます。

そのため、下記のような要件を満たす必要があります。

・契約時の年齢が20歳未満の未成年者であること 

※ちなみに、民法改正により成年年齢18歳となることになりました。

・結婚(婚姻)したことがないこと

※未成年者が婚姻している場合、民法第753条により成年とみなされます(成年擬制)。

・法定代理人からのお小遣いや仕送りなどの範囲内でないこと

お小遣いや仕送りは民法上「目的を定めないで処分を許した財産」「目的を定めて処分を許した財産をその目的の範囲内で使う場合」とされ、取消権が行使できません。

・法定代理人が同意していないこと 
法定代理人とは、未成年者に対して親権を有する者(通常はご両親)のことです。

※父母の婚姻中は、父母が共同で同意していないと有効な同意にはなりませんので、父母の一方が単独で同意した場合は、取消しができます。

両親が離婚している場合は、親権を有している親の同意が必要です。

親権者がいないときは、裁判所が選任した未成年後見人が法定代理人となります。

・法定代理人から許された営業に関する取引でないこと

・未成年者が相手方に詐術を用いていないこと 
詐術とは、未成年者が自分を成年者と偽ったり、法定代理人の同意を得ていないのに同意を得ていると偽って、その結果、相手方が誤信をしたことを言います。相手方を誤信させるため詐欺的手段を取ることです。

・追認がないこと 
成年に達した未成年者自身又は法定代理人は追認することができます。

追認とは、取消すことができる契約を確定的に有効なものとすることです。

なお、法定追認といって、成人になった未成年者又は法定代理人が、代金を支払うなど債務の履行をしたり、履行の請求等をしたときは、追認の意思表示があったとみなされます。

・取消権が時効になっていないこと 
取消権にも時効があり、追認をすることができるようになった時から5年(未成年者の場合成年になったときから5年)又は契約から20年を経過すると行使することができません。

ご自身で判断するのは困難な場合、当事務所までお気軽にご連絡下さい。

【民法条文】

(未成年者の法律行為)

第5条
1.未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
2.前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。
3.第1項の規定にかかわらず、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる。目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも、同様とする。

(取消権者)

第120条

1.行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、制限行為能力者又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者に限り、取り消すことができる。
2.詐欺又は強迫によって取り消すことができる行為は、瑕疵ある意思表示をした者又はその代理人若しくは承継人に限り、取り消すことができる。

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