借金、奨学金の返済をしないでいると、ご自宅宛てに特別送達で「口頭弁論期日呼出及び答弁書催告状」と業者からの「訴状」が裁判所から届くことがあります。
(簡易裁判所からの場合、それに加えて答弁書のひな形や答弁書の書き方の注意事項が入っていたりします。)
簡易裁判所の裁判では、民事訴訟法第277条により、2回目以降の期日でも擬制陳述※をすることができます。
(※擬制陳述とは、簡単に言うと答弁書・準備書面を裁判所に予め提出することで、期日当日は欠席しているにも関わらず、期日に出席して答弁書・準備書面を述べたことにする制度です)
答弁書のひな形には
「□話し合いによる解決(和解)を希望します
□分割払いを希望します。
平成 年 月から,毎月 日までに金 万円ずつ払う
□その他の案 」
と書いてありますので、分割払いで支払う旨をこちらに記載すれば出廷せずにこの言い分を裁判所と相手方に伝えることができます。
ただし、この内容で和解ができるということではないことご注意ください。
当事務所に答弁書の書き方がわからないので教えてほしいと相談を受けることがありますが、こちらに記載した金額での分割払いが認められると勘違いされている方は結構多いです。
答弁書に記載したものはあくまで借主側の希望であって、それを認めるかは債権者次第です。
もちろんこの内容が債権者側に認められましたら、和解に代わる決定と言って、裁判所で和解をしたことと同じ効力を持つ書類が送付されてきますので、その内容に従って返済すれば完済したことになります。
しかしながら、債権者側がその内容を認めない場合、借主側も訴状に記載された内容に誤りがなければ相手方の言い分を認める内容の判決が出てしまいますのでご注意ください。
自分の希望を書いたのになぜ判決が出るんだと怒って当事務所にご質問される方もいらっしゃいますが、たいていは借主側の和解案の提示が債権者の希望を満たしていないことが多いです。
擬制陳述は、出廷せずに済む便利な制度ですが、上記の通り債権者の希望に沿わない和解案の場合即判決ということもあり得ます。裁判所に出廷すれば、債権者の和解ラインも分かりますし、こちらの現状を説明できるので、和解できる可能性は実は上がります。
もし、和解を希望するものの裁判所に出廷する時間がない。怖くて出廷したくない等の場合ございましたら、弁護士・司法書士などに依頼することで代わりに出廷してもらうこともできます。
裁判所から呼出状が届いたもののどうすればよいか決めかねている方は、どうぞお気軽にご相談ください。
民事訴訟法
(訴状等の陳述の擬制)
第158条
原告又は被告が最初にすべき口頭弁論の期日に出頭せず、又は出頭したが本案の弁論をしないときは、裁判所は、その者が提出した訴状又は答弁書その他の準備書面に記載した事項を陳述したものとみなし、出頭した相手方に弁論をさせることができる。
(続行期日における陳述の擬制)
第277条
第158条の規定は、原告又は被告が口頭弁論の続行の期日に出頭せず、又は出頭したが本案の弁論をしない場合について準用する。
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