事業や住宅ローン等で銀行から借入をする際、父が主債務者、子が連帯保証人で契約することがあります。
契約後数年は支払いをしていたものの、何らかの理由で主債務者及び連帯保証人とも5年以上支払いができなくなり、その後父も亡くなってしまった場合、子が時効援用することができるでしょうか(主債務者の父に対して裁判や承認など時効中断事由がないことを前提とします)。
結論から申し上げると可能です。
子は連帯保証人の地位に加えて、父の主債務者の地位も承継します。
時効援用は主債務者・連帯保証人いずれであっても行うことができます。
そのため、主債務者の父が借金を5年以上返済しておらず、過去に裁判(訴訟、支払督促、調停)を起こされたこと等時効を中断させる事由が無いようでしたら、「時効援用」を行うことで、支払義務を逃れることができます。
(※借金の支払義務は、期間が経過すれば自動的に消滅するものではなく「時効援用」により消滅します。「時効援用」により借金の消滅時効が成立すれば、元金を含め発生した利息・損害金すべてを支払う必要がなくなります。残債務の多寡は関係ありません。)
ここで、父の相続について裁判所で相続放棄をすれば時効援用しなくても済むのではないかと疑問に思われる方もいると思います。
たしかに主たる債務者の相続人が相続放棄をした場合、相続放棄をされた方は主たる債務者の返済義務を負うことはありません。ですので、連帯保証人になっていない配偶者や子はこの方法で支払義務を逃れることができます。
しかしながら、連帯保証人になっている子は相続放棄をしても、主たる債務者の地位を承継しないという結論にしかならないため、連帯保証人の地位は相変わらず負うことになります。
そのため、主たる債務者が長期間支払いをしていない場合は、連帯保証人たる相続人は改めて時効援用しなければ支払義務を逃れることができないので注意が必要です。
当事務所では、借金をご相続された方の債務整理も承っております。
ネット上では見つけられない事案であってもお気軽にお問い合わせください。
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