消費者金融(カードローン)での返済が滞り、裁判を起こされたもののどうせ払えないからと何も対応をしないでいたところ、いきなり勤務先に裁判所から給与の差押命令が届いてしまいどうにかならないかというご相談を受けました。
当事務所にご相談頂く前にも、別の数件の事務所で相談をされたそうですが、どうにもならないと言われてしまい依頼まで行かなかったとのことでした。
その方のご事情を聞くと、過去に任意整理経験があるため大手の消費者金融では借りることができず、ネット上でブラックでも借りられる消費者金融とよく名前が出る2社から借入され、そのうち1件からこのようなことをされておられました。
ちなみに給与の差し押さえは、お給料の4分の1まで債権者は差し押さえることができます。
そのため、給料の4分の1を持っていかれると生活ができず、何より勤務先に迷惑が掛かっているので、このままだと仕事を失ってしまうことをおそれ、これからは分割払いでちゃんと払うから差押を取り下げてもらえないものかと尋ねられました。
では、専門家に交渉を依頼する任意整理に給与差押を止める力はあるのでしょうか?
答えはNOです。
任意整理には強制執行を止める効力はないためです。
じゃあ、給与差押後に任意整理を依頼するのは無駄?
そういうわけではありません。
業者によっては、これからきちんと支払ってくれるなら給与差押を取り下げるというところも中にはあります(当事務所でも交渉して取り下げてもらったことはございます)。
しかしながら、給与差押は完済するまでずっと差押続けられますので、業者もそうそうその権利を手放すわけはありません。特に中小の貸金業者はほぼ同意しません(専門家でも引き受けない理由は、困難な交渉になるのが目に見えているからです)。
さらに今回運が悪かったのは、借りた業者です。
ブラックでも貸しますとネット上で評判の会社は、滞ることを前提として貸し付けをするので、債権の取り立ても非常にうまいです。勤務先や実家の連絡先等の情報を貸付時に押さえてきます。
給与差押を停止させるには?
法的に強制執行を停止するためには、自己破産、個人再生、特定調停等の裁判所の手続きを踏む必要があります。
今回のご相談者様は、この件以外のもう1件の支払いも困難になっておりましたので、併せて債務整理のご依頼を受け、急いで破産手続きをすることになりました。
このように、借金が滞っているにも関わらず何もしないというのは非常に危険です。
差押が来てから、専門家にご依頼となると選択肢が非常に狭まり、依頼人の不利益になります。
借金問題を専門家に相談することは、一般の方にとって非常に勇気がいることだと思いますが、そのままにするデメリットは計り知れません。
(今回のケースはもっと早くご相談頂いていれば、破産を回避できたかもしれません)
一人で悩まず、当事務所又はお近くの専門家にご相談いただければと思います。
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