依頼した弁護士・司法書士と連絡が取れない時の対処法

行方不明 Q&A

毎年一定の割合で連絡が取れなくなる弁護士・司法書士(ここではまとめて「専門家」と言います。)がおります。
一昔前は債務整理の依頼をしていたら専門家と連絡が取れなくなったというケースがあり、私も何件かその事務所の事案を引き継いだことがあります。
ここ最近では、詐欺事件の返還請求の依頼をしていたら、連絡が取れなくなったということをお見受けすることが多くなりました。
依頼される方は一般的に依頼時に専門家に対して一定のお金を払っております。
専門家と連絡が取れなくなり、依頼した案件が進まない場合、他の専門家に依頼せざるを得なくなり、またその専門家にお金を払わなければいけないため、依頼者にとってはとても困る問題です。
直面したくない問題ですが、万一そのような専門家に当たってしまった場合の対処方法をアドバイスいたします。

1.専門家と連絡が取れなくなる理由

専門家と連絡が取れない場合、様々な理由が考えられます。
以下では、主な理由について簡単に説明します。

1-1. 個人的な問題

専門家が個人的な問題を抱えている場合、連絡が取りにくくなることがあります。
例えば、家族のトラブルやプライベートな件によるものです。
専門家も人間ですので、個人的な事情が業務に影響する場合があります。
このような場合は、事務所スタッフも事情を把握できておらず、事務所に連絡して、仮にスタッフが出てもわからないと回答される可能性が高いです。

1-2. 健康や事故によるもの

専門家が健康上の問題(精神・肉体的なもの)や事故に遭った場合にも連絡が取れなくなることがあります。
突然の病気や事故で入院してしまうこともありますので、依頼者に対して事前に連絡できないケースもあります。
このような場合には、比較的事務所のスタッフが電話に出てくれるので、依頼者が事務所に電話確認をすれば、どのような状況なのか分かることもあります。

1-3. 詐欺、横領、事件放置など犯罪、懲戒問題が関係するもの

預り金の使い込み、事件放置が原因で専門家と連絡が取れなくなることもあります。
例えば、担当する案件が増え過ぎて業務が回らなくなったり、詐欺や債務整理の事件で相手方から返還されたお金の使い込みなどにより、懲戒処分を受けて業務停止となったり、逮捕されたりする場合です。
このような場合には、事務所自体が閉鎖しており、電話しても誰も出ないということがほとんどです。

元司法書士 20件の相続手続きも預かり金不明 4件で追送検
遺産相続の手続きのために依頼者から預かっていた現金635万円を着服したとして北九州市の元司法書士が逮捕・起訴された事件で、ほかの20件の相続手続きでもおよそ5億円の預かり金が所在不明になっていたことがわかり、警察はこのうち4件分のおよそ1億5700万円について着服の疑いが確認されたとして追送検しました。

NHK NEWS WEB https://www3.nhk.or.jp/lnews/kitakyushu/20230929/5020014271.html

保管の預金から1億円余横領の疑い 弁護士を再逮捕
依頼者が相続する財産を横領したとして広島地検特別刑事部に逮捕された48歳の弁護士が、成年後見人として保管していた預金などから1億円余りを横領したとして再逮捕されました。

NHK NEWS WEB https://www3.nhk.or.jp/hiroshima-news/20240820/4000026731.html

無資格職員に名義貸し 投資詐欺被害金救済で非弁活動させた横浜の弁護士、懲戒手続き
弁護士会によると、鈴木弁護士は2月下旬~6月中旬、交流サイト(SNS)を通じた投資詐欺の被害金を救済するとの広告を掲載。報酬を得る目的で今野被告の事務所職員らに自身の名義を貸し、詐欺被害者らの事情聴取や弁護費用の説明をさせたとしている。

産経新聞 https://www.sankei.com/article/20240809-WNOMBQTXCJN5LCZCDUHDGNTB2A/

2. 連絡が取れない場合の対応

専門家に依頼した後、連絡が取れない場合はすぐに行動を起こすことが重要です。
以下の初期対応方法を参考にしてください。

2-1. 再度の連絡を試みる

最初に取り組むべきは再度の連絡を試みることです。
電話やメールでの連絡が通じない場合でも、他の方法を試してみましょう。
たとえば、専門家の事務所に直接出向いたり、別の連絡手段を使用するなどして、可能な限り連絡を取り続けることが大切です。
専門家から連絡がない場合、無視されている可能性も考えられますが、それでも諦めずに試みを続けることが肝心です。

2-2. 書面を送る

連絡が取れない場合、書面を送る方法も有効です。
書面には具体的な状況や要件、連絡が取れないことによる問題点などを明確に記載し、早急な対応を求める旨を伝えましょう。
内容証明郵便を使用すると、書面を送った証拠となるため、不誠実な対応が続く場合には、後々の調査や懲戒請求の際に有利に働きます。
また、書面を送ることで、専門家が故意に連絡を無視しているかどうかを確認する手段となります。

これらの初期対応を行うことで、専門家との連絡が再び取れるかもしれません。
しかし、それでも解決しない場合には、次のステップとして専門機関への相談や法律的な対応を検討することが必要となります。

3. 専門機関・セカンドオピニオンの活用

専門家に依頼した後、連絡がない場合は非常に不安になるものです。
このような場合には、専門機関を活用することが重要です。

3-1. 弁護士会・司法書士会への相談

弁護士・司法書士は事務所を構えている都道府県の弁護士会・司法書士会に所属しておりますので、専門家と連絡が取れない場合、まず考えたいのがその専門家が所属している弁護士会・司法書士会への相談です。
各県の単位会はそこに所属している専門家に関するさまざまな相談を受け付けています。
単位会には専門家の職務遂行に関する苦情やトラブルについて相談できる窓口があります。
特に、行方不明や急なトラブル発生の場合には迅速な対応を求めることができます。

3-2. 懲戒請求

専門家が依頼を無視するなど、不誠実な対応を続けている場合は、所属している弁護士会・司法書士会への懲戒請求をすることができます。
懲戒処分は専門家の職務遂行に大きな影響を与えますので、懲戒請求をすれば、連絡が取れる場合もありますし、連絡が取れない理由や問題点を明確にするための一歩となります。

【ストップ!詐欺被害】「投資詐欺の被害金を全額回収できた」事実と異なる回収実績を掲載 80歳の弁護士を懲戒請求【福岡県弁護士会】
事実と異なる投資詐欺の被害金回収実績を事務所のホームページに掲載したなどとして、福岡県弁護士会は、80歳の男性弁護士を懲戒請求したと発表しました。

日テレNEWS NNN https://news.ntv.co.jp/n/fbs/category/society/fs076e144a99bc45e9989f1bc76025f781

3-3. 事件処理の引継ぎ

専門家の健康上の理由や事故で連絡が取れないことがわかった場合、依頼内容の進捗状況を確認し、問題なく進行しているかを確認することが重要です。
依頼内容がほとんど遂行されていないのであれば、他の専門家に引き継いでもらうことも一つの方法です。
通常専門家は、横のつながりがありますので、業務を遂行できなければ、知り合いの専門家を紹介することはできます。

4. 刑事事件となるケース

専門家が逮捕されるケースは複数存在します。
一般的な理由としては、詐欺や資料の偽造、職務に関連する不正行為などが挙げられますが、専門家が逮捕される事案で特に多い理由は横領です。
多額のお金を預けている場合に専門家と連絡が取れなくなったケースでは、預かり金を事務所の運転資金、ギャンブルなどの遊興費、個人的借金の返済に充てられていることも多いです。
連絡が取れない専門家が逮捕されていれば、たいていの場合ニュースになりますが、まだそこまでいっていない事案ですと、所属の単位会に連絡をして、単位会からその専門家に連絡を入れてもらうことで被害を防げる可能性もあります。

依頼した専門家と連絡が取れず、依頼内容が進まないことついてにお困りの方は、当事務所までお気軽にご相談ください。

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