遺産分割協議をしていない(相続手続きをしていない)父・母の遺産があると自己破産するにあたって問題があるかとご質問を頂くことがあります。
答えとしては、「遺産額・内容によっては問題となるケースがあります」
そもそも自己破産は、借金をチャラにするというだけでなく、ご自身が保有している財産をお金にして(換価といいます)債権者に分配する手続でもあります。
そのため処分される財産とは何なのかということ知ることは重要です。
預金、家、車などは財産ということはすぐにイメージが付くと思いますが、生命保険の解約返戻金や退職金といったすぐにはぴんと来ない財産もあります。
この財産に遺産分割協議が済んでいない遺産も含まれますので特に注意が必要です。
遺産分割協議が済んでいない遺産は、相続人の共有状態にありますので、遺産のうちご自身の相続分についてはご自身の財産ということになります。
名義は被相続人のままだから自分のものではないと勘違いされる方は多いです。
専門家に相続があったことを話してくれればよいのですが、万一気が付かずに自己破産の申立をした場合、遺産のうちご自身の相続分については処分の対象になってしまい最悪他の相続人に迷惑をかけることもあります。
例として、
被相続人:父
相続人:母、子ども
遺産:自宅不動産(父名義100%)のみ 遺産分割協議未了
で考えてみると、
遺産分割協議が済んでいない状態で子どもが自己破産をすると、自宅の持分2分の1については破産手続上処分するべき財産ということになってしまいます。
不動産の持分だけを買うという相手なんていないのではと思うかもしれませんが、最近では共有持分を買い取る不動産業者は増えてきております。
ちなみにこの場合では、管財人は他の相続人であるお母様に買い取りの打診をすることが多いです(買取ができなければ自宅を出なければなりませんからね。)。
遺産分割協議をきちんと済ませていれば、お母様は一銭の負担もせずに済んだもののいらぬ負担を与えてしまいかねません。
相続登記の義務化も検討されつつありますので、相続が発生したら出来るだけ早めに遺産分割協議及び登記手続きを済ませてしまうことをお勧めいたします。
当事務所では、債務整理のほか相続手続き、登記手続きも力を入れております。
相続が絡む債務整理手続き(負債相続)も得意としておりますので、借金問題・相続問題でご不明な点やご不安な点をお持ちの方はどうぞお気軽にご相談頂ければと思います。
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